フィリピンはオンライン遠隔教育の準備ができているのか?


COVID-19の影響で、フィリピンの学校は情報通信技術(ICT)を活用し、物理的な教室を越えて教育を提供することが求められています。でも、フィリピンはオンライン遠隔教育(online and distance E-learning)の準備ができているのでしょうか。



フィリピンでは、裕福な子供たちが通うインターナショナルスクールなど、学校によってはeラーニングは新しいものではありません。 Google ClassroomやEdmodoなど、オンライン授業向けのツールは多くの学校で使用されています。これらのツールはオンライン授業の他、宿題など提出物の送信に使用され、締め切りを生徒に警告する機能が付属しています。

Facebookやメッセンジャーなどのソーシャルメディアも使われています。全員がアカウントを持っているわけではありませんので、フェイス・トゥ・フェイスのコミュニケーションが基本ですが、直接教師に質問をすることができます。



これらのオンライン教育ツールは、必要なことを提供することには役立ちますが、対面コミュニケーションによる効果を置き換えることはできません。政府は、人との触れ合いが欠如することを補完する方法を検討しています。このように、オンライン授業を提供する手段を持っている学校は、ZoomやSkypeを使って授業を提供しています。



オンライン遠隔教育を整えるには、ユーザー、ツール、環境といった要素がうまく連携する必要があります。

「ユーザー」は教師と生徒です。教師は、オンライン授業に適するようにレッスンを調整する必要があります。学生は、現在の自身の状況に合うように自宅での時間を確保する必要があります。それらへの意識は、学校、家族の責任感、個人の成長によって分かれます。

「ツール」はすぐに準備できますが、これらのツール(オンラインツール、ソフトウェア、アプリケーション、および物理的なデバイス)をすべてのユーザーに提供することは難しいでしょう。教師も生徒も、情報を送受信したり、タスクを実行したりするためのデバイスが必要です。一番現実的で安価なデバイスはスマートフォンです。電話もできますし、メッセージを受け取れるでしょう。アプリケーションもインストールできます。

「環境」が最も難しい問題です。フィリピンは多くの島から成り立っており、どこにでも等しくインフラを構築することは困難です。ですので、多くの場所に携帯電話サービスやインターネットないのです。

ABS-CBNのDZMM(フィリピンのラジオ局)へのインタビューで、教育省のネポムセノマラルアン次官補は、移動が制限されている場所で学生に授業を提供するために、テレビとラジオを最大限活用すると言いました。それでも、またツールの問題に戻ります。すべての家庭にテレビまたはラジオがあるのか?テレビとラジオの信号が届くのか?また、そのような環境でそれらのツールを使えるのか…。



実技や実践が必要とされる専門教育においては、さらに複雑になります。教授が学生の実際の能力を監督できない場合、どのように成績をつけるのでしょう?



上の写真は、学生の Franz Berdidaが暗闇の中でラップトップを見ているビデオからのスクリーンショットです。彼女は夜遅くに宿題を提出するために山を登らなくてはいけませんでした。「山を登るには、だいたい30分から1時間かかります」と言うことです。(※フィリピンの特に田舎ではインターネットのインフラ整備が十分ではなく、高いところへ行くと電波が入ることがあります。人々は山まで登らなくても、屋根にあがって良い電波を得ようとします。)

フィリピンはまだオンライン遠隔授業の準備ができていないと言って間違いないですが、担任など関係者は授業を進める必要があると考えています。彼らは授業を再開して、すぐに問題を解決したいと思うかもしれません。でも、多くは裕福ではない家庭であり、遠隔授業をすすめることで彼らは取り残されるかもしれません。




この記事は、How ready Philippines is for Online and Distance E-learning の日本語版です。

訳注: E-learning eラーニングと、Distance learning 遠隔教育は異なる概念です。新型コロナウィルスを受け、教師と学生の距離をとってどのように教育を提供するかという概念は、eラーニングそのものではなく、遠隔教育(例えば日本にいながらアメリカの授業を取る)と融合した考えが必要であり、Online and Distance E-learning と表現されています。(翻訳:小野)


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更新:2020年06月06日